掴めそうで掴めない。
見えそうで見えない。
そのように思い通りに行かないのは、何であっても腹立たしいものである。
その時、わたしは胸に強い衝撃が加わるのを感じて驚いた。
瞼(まぶた)が開かないので視覚による確認はできなかったが、どうやらわたしの左手が自らの胸を平手で叩いているようである。
左手がわたしの胸を何度か叩いた時に、わたしは胸の奥から込み上げてくるものを感じ、それに抵抗することはできなかった。
わたしは大きなゲップをしていた。
その時は、不思議なことにわたしの肉体は口を閉じた状態でゲップをしているにもかかわらず、意識のわたし?は口を目一杯に開いて虚空を見上げているのである。
そして、その開かれた口からは黒い煙のようなものが大量に吐き出され、上空へと舞い上がっているのだった。
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