その時、黒い人型の影が背中を丸めるようにして頭を抱えた。
そして、地を這(は)うような唸(うな)り声をあげ始めた。
その瞬間から、わたしは強烈な頭痛と吐き気と怒りの感情に襲われた。
わたしは腹が立って仕方がなかった。
それは、水面に油が広がるように一瞬に、この怒りの感情はわたしの心に広がり、一瞬にしてわたしの心を支配してしまった。
黒い無数の手がどこからか伸びてきてわたしを掴む。
わたしは抵抗する反応も与えられずに捕らえられる。
そして、身動きが取れなくなる。
この感覚はこれまでに何度か経験したことがある。
わたしはその都度この感覚に支配され、それをどうするかなんて考えられなかったし、その選択肢はわたしには無かった。
わたしには闘うことすら許されていなかったのである。
怒りの感情は苦しいものであり、良くない結果を導くものであることは経験として知っていた。
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