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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2013年8月29日木曜日

追憶 355

これまでのわたしには、怒りの感情を解決することはできなかった。
わたしにできる唯一のことは、時が過ぎるのを待つことだけだったのである。
幼くて軟弱なわたしは、怒りの感情に対して抵抗することはできなかった。
それが襲来すると簡単に捕らえられ、ただ従うだけであったのだ。
わたしにとって、怒りの感情というものは途轍(とてつ)もなく強大な敵であった。
それがどこにいるのかも分からない。
どのような姿をしており、どのように対処すれば良いのかも分からない。
それは突如として暗闇から襲いかかってくる梟(ふくろう)のように、わたしを音も無く飲み込む恐ろしい存在であった。
今、わたしの目の前にいる真っ黒な人型の影は怒りの感情によって支配されている。
それは、わたしが怒りの感情に支配された時と同じようだと思ったからだ。
わたしが今感じているこの苦しみは、目の前の真っ黒な人型の影が得ている感覚に違いないであろう。

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