意識を集中することによって、わたしは黒い霧の中に様々な人の顔を見た。
その時には、世界から老女の声は消えていた。
それ等の顔は皆、悲鳴や怒号を上げていた。
わたしはそれに、強い嫌悪感を感じる。
わたしは大きな音や、不協和音が苦手である。
彼等の声は聞くに耐えないものであった。
しかしながら、わたしはそれを聞かなければならない。
なぜなら、理解を深めるためである。
人は嫌なことを拒絶する。
それも一つの方法であるだろう。
嫌なことを拒絶するのは、決して悪いことではない。
しかしながら、感情に従ってただ闇雲に拒絶するのは芸がないであろう。
嫌なことに対する理解を深めることも、一興(いっきょう)であると思えるのである。
そこには、新たな発見や、思いも寄らない結果が導かれるからだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿