夢を見ていた。
それは、不思議な夢であった。
わたしは夢の中で目覚めた。
ここは、わたしが中学生の頃の世界だ。
布団の中で寝ていても、裏庭の景色が見て取れた。
現在は崖崩れを懸念して、見上げる程の擁壁(ようへき)が築かれてはいるが、元は様々な花木(かぼく)を植えた、裏庭から続く美しい裏山だった。
今では見る影も無く、何の風情も無いお粗末な灰色だけが淡々とそびえ立っている。
幼い頃は山登りをして遊んだものである。
半懸崖(はんけんがい)に自生した巨大なウバメガシに腰掛けて、何時間もぼんやりと過ごしたものであった。
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