わたしたちは、浅瀬に作られたコンクリート製の砂防に腰を下ろした。
コップにお茶を注ぎ、Rに手渡した。
それを一気に流し込むと、わざとらしく大きく息をして見せた。
わたしもそれを真似て、お茶を飲み終わると大きく息をして見せた。
わたしたちは笑い合い、お菓子を分け合った。
川面を撫(な)でる風が青々と茂る葦(あし)の群生を揺らす。
足首から体温を奪われる心地好さは、文明の利器など及ばなかった。
隣に座るRは、足で水を蹴っている。
わたしは幸せを感じながら、Rが生まれる前のことを一人で回想していた。
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