小さなゴンドラを降りると、人の列があった。
大きなゴンドラに乗るために人数を集めているのである。
わたしたちの後ろに、新たな人の列ができた。
次から次に人を吐き出す小さなゴンドラは、食料を運ぶ働き蟻のように見えた。
時間になって、わたしたちは大きなゴンドラに詰め込まれた。
空調が稼働している気配はない。
季節は仲夏(ちゅうか)である。
わたしは長袖のシャツを着用していたが、湿気に対して心地の悪さを感じていた。
ゴンドラが動き出すと、少しだけ外気の流れるのを感じて、心地の悪さは少しだけ薄れた。
見下ろすと、大きな岩があちらこちらに見え隠れしている。
松柏(しょうはく)の緑によって、本来の姿を隠しているのだろう。
登山道を行けば、或(ある)いは巨石の足元に辿り着けるかもしれない。
自然石なのか、人工石なのか?わたしに判断することは難しいだろうが、直に触れてみたいと思いながら見送った。
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