黒い人影は木々に隠れるような形で存在し、その全部がKに注目していた。
Kは一瞬でそれ等の影が人ではないと認識する。
自分を注視しているものたちが霊であることを理解した時、それ等の影が薄れ、その姿があらわになった。
そこにいたすべての霊が古い時代の軍服(戦闘服)を着ていた。
それは旧日本軍のように見えた。
Kは驚いて固まっていると、霊の軍隊が突然に銃を構え始め、その銃口を一斉にKに対して向けたのである。
反射的にしゃがみ込み、銃口を自分から外す。
鬼気迫るものを感じたKは、窓の外を確認することなく、身を屈(かが)めてその場を後にしたのである。
施設のある場所が昔何に使われていたのかは知らないが、もしかしたら、軍事的な何かがあったのかも知れないとKは
笑顔で語った。
0 件のコメント:
コメントを投稿