様々な格好をした人たちがそこにはいた。
彼らは皆泣いているように見えた。
しかし、その表情は穏やかなものである。
先程までの光を掴もうと怒声のような悲鳴を上げてまで必死になっていた姿は無く、皆一様に両の腕を高く掲げて、静かに恵みを受け取ろうとしているような姿に見える。
誰一人として苦悩に満ちた表情の者はいなかった。
それを見て、わたしは心の底から嬉しさが込み上げてくるのが分かった。
彼らが苦しみから解放されたことが嬉しくてたまらなかったのである。
その時、わたしは穴の中に向かって手を差し伸べていた。
彼らを穴の中から引き上げようとしているのであろう。
わたしがこのように表現するのは、わたしの身体が自分自身の意思とは関係の無い力によって突き動かされていたからである。
0 件のコメント:
コメントを投稿