もちろん、わたしは彼らを暗い穴の中から救い出したかったが、そのために手を差し伸べるという意思は持っていなかったのである。
自分自身の身体が、その意思の外で動くことには既に驚かなくなっていた。
今のわたしにとっては、それが自然なことであったのである。
差し伸べられたわたしの手に、穴の中の人々が気付いた。
彼らは頭上に掲げていた腕をわたし一人に向けて伸ばした。
わたしはそれがとても嬉しかった。
空中に線を引く。
光の杭が生み出され、右手がそれを掴んだ。
わたしは再度、光の杭を穴の中の人々に向かって投じた。
どういう原理なのかは分からないが、光の杭が穴の中の人々に到達すると、そこにいるすべての人を包み込む温かな光が生まれるのを見た。
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