このブログについて

自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2013年2月1日金曜日

追憶 346

足元に気を配りながら慎重に進む。
駐車場から少し下ると、大きな木造のペンションがわたしを出迎える。
これは、キャンプ場の管理施設である。
昼間は施設内で軽い食事をすることができたり、アイスクリームやジュースなども置いてある活気溢れる場所であるが、施設内に夜の闇が入り込んで静まり返っている様を見ると昼間の活気は微塵も感じられず、そこには不気味ささえ覚える。
ガラス越しに施設内を見渡したが、その雰囲気に寒気を感じて先を急いだ。
ペンションの横に屋根付きの簡易休憩場があるが、皆はそこにはいないようだ。
辺りを見渡しても気配がない。
ペンションを回り込むと、一段下がった所に川原があった。
わたしは足元を気遣いながら石段を下りた。
足元の砂と小石がわたしにそれを伝えた。
見渡すと、少し離れた所に火の明かりが微かに揺れて、人の影を川原の大きな石に映しているのが見えた。
暗闇の中に小さな炎が散らつくのはかなり目立つものである。
わたしは灯台に導かれる小舟のような気分で、その明かりに向かって歩みを進めた。




0 件のコメント:

コメントを投稿