このブログについて

自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2013年2月10日日曜日

追憶 355

「大丈夫?酔っ払ったの?」

わたしはAの髪の毛に話し掛けた。
すると、ゆっくりと頭が持ち上がり、切れ長のきれいな目がわたしを捉えた。
しかしながら、その表情は暗く、わたしに対応するのに力を振り絞っているのが見て取れた。

「あ…うん…」

Aは弱々しい口調でそう答えた。

「水でも飲む?」

「いらない…ありがとう…」

小さな笑みを浮かべた後、Aはまた同じように俯いた。
わたしはAのことを心配したが、心配したところでどうすることもできなかったので、腹ごしらえのために肉に手を伸ばした。
その時、耳を劈(つんざ)くように耳鳴りが襲った。

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