女は腰まで伸びたボサボサの髪の毛と両腕を無気力に垂らして立っている。
髪の毛で隠れているためか、顔は真っ暗でその表情はうかがい知ることはできなかった。
わたしはその女が人間ではないということを知っていた。
それは、こんな闇夜にもかかわらずに、まるで女だけがはっきりとした輪郭を以って浮き上がっているからである。
まるで、暗闇の中でテレビを見ているような感覚である。
発光しているという訳ではないが、自然界の光の影響を受けてはいないのだ。
常識で考えるとあり得ない話である。
所謂、超常現象というやつであるだろう。
しかしながら、その光景に不自然さは感じない。
常識的に考えるとおかしいのだが、自然な感覚(心)に任せるとおかしくはないのである。
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