女はまさしく般若の面の様な顔をしていた。
目と口の中はただ真っ黒な空間が広がるだけの穴の様になっていたが、それでもわたしに対しての視線や怒りの感情を痛いくらいに感じる。
わたしは女の剣幕に圧倒されそうであった。
怒りの感情は人の心を傷付け、叩き潰すのには打って付けの力であるに違いない。
女の突き刺すような怒りの感情にわたしの心が押し潰されそうになった時、Kが口を開いた。
「おい…何かヤバイことになってるぞ」
わたしはKの顔を見て冷静さを取り戻すことができた。
しかしながら、胸の鼓動は単気筒エンジンの様に激しく脈打っている。
心の中でKに感謝して、わたしは深く息を吸い込んだ。
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