わたしは胸に空いた光の扉に腕を差し入れ、老女と黒い人影達を掴んだ。
そして、それを力一杯に引き摺(ず)り出したのである。
沈黙を得た彼等は、何の抵抗も示さず、素直にわたしの行為に従った。
彼等を腕に抱えたままで光の扉に対して十字を描くと、それは掌(てのひら)で溶ける雪のように優しく消えた。
わたしは静寂を喜んだ。
老女と黒い人影達は何の反応も示さないが、彼等からは穏やかなエネルギーのようなものを感じ取ることができる。
それも喜びとなった。
わたしは彼等が救われることを願って、愛情の赴(おもむ)くままに抱き締めた。
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