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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2017年10月5日木曜日

追憶 1824

黒い煙が去った後、わたしの中には沈黙と、老女と黒い人影達が残った。
彼等はもう、炎に焼かれてはいない。
彼等はもう、苦しみを手放したのである。
それは、光の十字架が彼等に対して、何等かの可能性を見せたからであろう。
可能性を見た彼等は、これ以上苦しむ必要がなくなったのである。
死んだように動かなくなった彼等を見て、わたしは胸を撫(な)で下ろした。
これ以上、彼等の苦しむ姿は見るに堪えないし、彼等の悲鳴は聞くに堪えないからである。
わたしは心から、彼等が歪んだ感情を手放し、苦しみの炎から解放されたことを喜んだ。

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