その日の晩、わたしは湯船に浸かり、疲れた身体を少しでも癒そうと考えた。
身体は芯から温まり、疲れも痛みも緩和されるようであった。
風呂から上がると、光の天秤の記事を書こうと自室のパソコンの前に座った。
間接照明の薄暗い明かりが心を落ち着かせるようである。
心も身体も緊張から解放されて、少しの力みも所有してはいなかっただろう。
しかしながら、次の瞬間にわたしは急速に背筋が冷めるのを理解した。
風呂上がりの火照りは一瞬の内に寒気へと変わる。
反射的に振り返ると、薄暗い部屋の隅に何かがいるのを認識した。
それは、天井まで届く程の黒くて大きな塊であった。
それが寒気の原因であることは、状況的に間違いないであろう。
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