わたしは一瞬の間だけではあったが、死を考えた。
しかしながら、アスファルトやガソリンの匂いがわたしに生を伝えている。
わたしは死ななかったのである。
鼓動が高鳴り、それを五月蝿(うるさ)く感じた。
わたしは身体を動かさずに、どこか壊れている場所はないかと探した。
外傷は無いようである。
指先が動くのを理解し、身体を起こした。
すると、右肩に激痛が走った。
わたしは短く罵(ののし)った。
それは、右肩の痛みと、少し先に横たわるバイクと、走り去ったワゴン車の運転手にである。
わたしの短い罵りは、それだけでわたしの中からネガティブな感情を取り除いた。
すると、わたしは急にこの状況がおかしくなり、仰向けに寝転がって笑い声を上げた。
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