わたしは彼を以前から知っている。
彼には良く言えば強い信念があり、悪く言えば気が短いところがあった。
正義感が強いのである。
自分の気に入らないことに関しては譲ることをせず、争ってしまうような性格の持ち主であった。
その性格のために、以前に勤めていた会社の上司との間でいざこざを起こし、上司を殴って裁判にまで発展するという過去を持っていた。
彼の行為は褒められたものではないが、彼の名誉のために言うと、彼は善意の人である。
しかしながら、その強過ぎる正義感から社会(資本主義)の抱える矛盾や、人間の抱える汚れ(ルサンチマン)に耐えられない不器用さを抱えていた。
それが内的な矛盾として苦悩を生むのである。
それが、彼の頭の中に存在している黒い岩なのであろう。
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