わたしは意識的な問題を解決することには成功したが、物質的な問題は山積みのままである。
わたしは横たわるバイクに歩み寄った。
ハンドルが変な方向を向いているのに気が付いた。
ミッション車であるためにエンジンは止まっていた。
横倒しになっているためにタンクからは少しずつガソリンが流れ出ており、それがアスファルトに模様を作り始めていた。
肩の痛みに耐えながら、わたしは何とかバイクを起こした。
スタンドを立てて、キーをOFFにすると、背後で車が止まる音がした。
振り返ると、知人が驚いた様子でわたしを見ていた。
彼はわたしが事故を起こしたことを悟り、気遣ってくれた。
しかしながら、彼の心配はわたしにとっては重たいものであった。
それは、わたしが既に意識的な問題を解決していたからである。
彼の気遣いは有難いが、それは彼の自我意識が行う同調圧力なのだ。
彼の自我意識は、わたしに不安を抱かせることによって、再び重たい檻の中にわたしを押し込めようというのである。
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