彼は60代に見えた。
この年齢での事故による衝撃が与える影響は、わたしには簡単に想像できた。
それは、相当身体にこたえているはずである。
小さく唸り声を漏らしながら、表情を歪めて再びシートにもたれ掛かった。
胸を押さえている姿からは、そこを強く打ったのだと推測できる。
シートベルトによる圧迫だろうと思った。
その時、一台の車が停まり、そこから30代くらいの若い四人の男性が降りてきた。
彼等は、この状況を心配して立ち寄ってくれたのである。
「救急車は呼んだ!?」
先輩格の男性がわたしに尋ねた。
そこで、わたしは自分が冷静さを欠いており、何もしていないことに気が付いた。
すぐさま携帯電話を取り出し、救急に連絡した。
すぐに救急車を向かわせるということだったので、わたしは彼等に礼を述べつつも、シートに横たわる男性に声を掛け続けた。
その間、四人の男性たちは交通整理をしてくれていたが、わたしは彼等に対して感謝の気持ちが絶えなかった。
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