車の後部が微かに左右に振られ、それから大きく振れた。
そして、大きく蛇行した挙句(あげく)、車体が進行方向に右の側面を見せた。
車道の左側には、見上げる程のコンクリートの擁壁(ようへき)があったが、今ではそれが正面に見えている。
わたしにはなす術が無かった。
車体を立て直そうとしたが、ハンドルは重たくて動かすことができない。
車はそのまま擁壁に向かって進んでいく。
どうしようも無かった。
わたしはNのことを守ろうとしたが、遠心力と緊張によってか、身体がシートから離れそうもない。
次の瞬間、大きな衝撃と共に車は擁壁に激突した。
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