瞳が収縮するのを感じながらトンネルを飛び出した。
すると、そこは別世界であった。
雨粒は雨の線となり、アスファルトに繋がっている。
地面は気泡で真っ白に見えた。
まるで川のようである。
そこから道は右に緩やかに弧(こ)を描いている。
予想だにしない光景に多少驚いたが、それが胸の鼓動を高めて、集中力を発揮させた。
しかし、次の瞬間にわたしは車の異常に気が付いた。
左後部のタイヤが空転したように思えたのである。
嫌な振動がハンドルから伝わった。
次の瞬間、車は制御を失っていたのである。
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