車全体が鋭く揺れた。
それと同時に、身体が浮かび上がる感覚を得た。
車は左前輪を擁壁に乗り上げ、弾かれるようにして方向を変えた。
わたしたちは再び道路を正面に捉えることとなる。
弾かれた先には追い越しの登り車線があり、下りの一車線と合わせて三車線の道路である。
わたしたちの進行方向は下りの一車線であったが、登りは追い越しの二車線となっていたのである。
そのことを知っていたので、この道端を使って車を停車させることができるのではないかと、淡い期待を抱いた。
もしくは、何処かに衝突したとしても、何等かの形で停まれば良いと思ったのである。
流れる景色の中で、対向車がいないことを確認した。
一瞬の安堵(あんど)を覚えたが、次の瞬間に一台の軽自動車が近付いているのに気が付いた。
0 件のコメント:
コメントを投稿