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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2018年9月15日土曜日

追憶 2169

境内には、お経と木魚の音が響いていた。
わたしが、その音に引き寄せられるように歩を進めると、本堂の前に見覚えのある靴が並んでいるのが見えた。
わたしも同じように靴を脱いで並べ、本堂へと上り込んだ。
住職の小さく傾いた背中が、木魚の音と連動して動いていた。
それは、住職が片足を痛めているからである。
彼は、普段片足を引き摺(ず)りながら歩いている。
そのため、正座や座禅で座ることが出来ないのであろう。
視線を滑らせると、祖母と両親、そして、叔父一家が並んで座り、神妙(しんみょう)な面持ちでお経を聞いていた。
わたしには、この光景がシュールなものに思えて面白かった。
わたしは客観的にこの光景を見ているのである。

"何のために、この人達はこんなことをしているのだろう?"

わたしの中では、このような言葉が飛び交っていた。



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