現在、寺には住職しか住んでいない。
恐らくは、ミカン畑に対してラジオを聞かせているのは住職であろう。
わたしは疑問を抱えながらも、お墓へと通じる坂道を進むことにした。
すると、住職の"奇行"の原因だと思われるものを見付けた。
それは、所々が崩れた畑の石垣であった。
これは、猪による被害であるだろう。
良く見ると、畑も耕されたように全体的に土が盛り上がっている。
ミミズでも探したのであろうか、草が根ごとひっくり返っているのである。
恐らくは、猪除けのためにラジオをつけているのだろう。