明らかに、彼女の言葉には先程までとは異なる感情がこもり始めていた。
天は、それをよしとした。
"なぜ、それ等のことが存在してはいけないのですか?"
わたしは、子どものように無邪気に聞いた。
すると、彼女は自らの主張が正しく、多くの人に支持されているものだと言わんばかりに言葉を重ねた。
"悪いことだからです"
そこで、わたしは言葉を返した。
"悪いことって何ですか?"
わたしの言葉に対して、彼女は沈黙した。
それは、彼女が常識に縛られているからである。
彼女は、ある意味で常識的な人なのだろう。
常識の世界では、様々なことが抽象的(ちゅうしょうてき)に共通の認識を得ている。
抽象的な認識の集まりこそが常識なのだと思うのである。
例えば、常識における悪いことへの抽象的な認識は、規則を破ることや、人に迷惑をかけることなどであろう。
そのため、いじめや暴力や殺人や戦争は、彼女達にとっては悪いことなのだ。
それは、規則を破ることでもあり、人に迷惑をかけることでもあるからであろう。
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