森の中にマネキンが置かれていた理由は分からないが、わたしにとっての理由は、先程の女性を考察するためのヒントであったということであろう。
わたしの考察が正しいかどうか?ということは重要ではない。
現時点での理解を得れば良いのである。
簡単にまとまったところで、わたしは先へと進むことにした。
木漏れ日が美しい道であった。
森を縫うようにして通る道に、バイクの排気音が響いている。
きっと、煩(うるさ)いに違いない。
運転しているわたし自身も煩いと思うからである。
しばらく進むと、屋根の崩れ落ちた大きな一軒家が現れた。
それは、バイクの排気音とは対照的に、静かに滅びるのを待っているようであった。
ここにも以前には人の生活があったのだろう。
わたしは郷愁(きょうしゅう)を感じながら、廃墟を通り過ぎた。
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