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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2017年4月4日火曜日

追憶 1667

その人家は石垣の上に建っていて、道路からは一段高い場所である。
そのため、バイクに乗っているわたしの目線は、人家の犬走りくらいであった。
遠くから見上げた人家からは古さを感じたが、人が住むのに難しくはないだろう。
しかしながら、庭木が荒れている。
剪定(せんてい)をしていないだけか、興味がないのかも知れない。
わたしは家人の迷惑にならないようにアクセルを絞り、出来る限り静かに人家に近付いた。
近付いてみると、その古さが際立った。
ただ古いだけではなく、人のエネルギーのようなものを感じないのである。
生活感が無いとでも言うのだろうか?
玄関には、所々に野草が自生していた。
何かの道具や容器などが転がっていた。
そして、家の所々が劣化している。
この人家は空き家であるだろう。
以前はここにも人が住み、生活の賑(にぎ)わいがあったに違いない。
しかしながら、今では静かな森の一部として溶け込んでいるようである。

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