もちろん、家族がいる可能性の方が高いだろうが、そうなれば生活臭の不自然さが際立つのである。
	その時、わたしは森の中に異様なものを見付けて驚いた。
	それは、人の顔であった。
	緑色や茶色の枝葉の中に肌色が異様であった。
	わたしは先程の女性を思い出し、バイクを停めた。
	暗がりに人の顔がある。
	ヘルメットのバイザーを上げて確認する。
	すると、それは美容学校などで使われている人の頭部を模(も)したマネキンであった。
	どういう訳か、森の中にマネキンが置かれているのである。
	走行中であることと、ヘルメットのバイザーがスモークであることもあり、森の中に人の顔が浮かんでいるように誤解したのであった。
	
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