二人が去ると、わたしはバイクを停めて木々の隙間を見詰めた。
	木々の先に二人の消息が得られると思ったからである。
	しかしながら、そこには変哲もない風景が広がっているだけであった。
	二人の正体を突き止められなかったことが心残りである。
	二人が何者であったのかは分からないが、山には不思議で面白い存在が文字通り山ほどいる。
	里では出会えないような”野性的”な存在が、山にはいるのである。
	彼等との出会いは、いつもわたしを高揚させた。
	普通の”お化けちゃん”では、刺激不足に陥ってしまうのである。
	それは、日常化しているからであろう。
	人の姿をした霊も毎日向き合っていれば、珍しいものではなくなる。
	もちろん、わたしはどのような霊的な存在とも懸命に向き合っているが、人の姿をした霊的な存在の問題は人工的なものであり、わたしの中では体験を通じてある程度の体系化がなされている。
	わたしは無知で愚かだと思うが、それでも刺激不足に陥ってしまうのであった。
	人はどのような道においても、新しい学びを求め、より強い刺激を求めるものである。
	山の存在には経験値が直接的に通用せず、戸惑ってばかりである。
	それがわたしを魅了するのである。
	
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