Hの家族の間には、黒い霧のようなものが立ち込めていた。
それはわたしを重たくさせた。
それは家を覆い尽くすくらいに広がっていた。
わたしはHのことを祝福していたので、真逆の結果を受ける”この人たちはなんて不幸なのだ”と心の中で泣いた。
手紙だけでは、彼等の考えは変わるはずがない。
それは、半世紀以上もの歳月を掛けて形成された鉱石のようなものなのである。
彼等はそれを高価な資産だと思い込んでいる。
冷静に考えれば、宝石などは只の石ころに過ぎない。
しかしながら、”誰か”がそこに価値を付けた。
宝石は生存には何ら関わりが無いにもかかわらず、食料の何千、何万倍以上もの金銭的価値を得ているのである。
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