清々しい風が心を渡るようであった。
それは、険しい山道の果てに輝く水平線を眺めるような達成感である。
木箱の中には女の子が抱えていた感情が詰まっていたと、わたしは直感によって理解した。
これによって、わたしがそうであったように、女の子も幾分か軽くなったのではないだろうか?
振り返ると、女の子は倒れていた。
わたしは女の子を抱え上げた。
わたしの腕の中には、泣き疲れて眠る子どもがいた。
女の子の表情は黒いために知り得ないが、それが安らかなものなのではないかと感じる。
女の子は長い間闘ってきたのだろう。
何故かそう思うのである。
0 件のコメント:
コメントを投稿