清々しい風が心を渡るようであった。
	それは、険しい山道の果てに輝く水平線を眺めるような達成感である。
	木箱の中には女の子が抱えていた感情が詰まっていたと、わたしは直感によって理解した。
	これによって、わたしがそうであったように、女の子も幾分か軽くなったのではないだろうか?
	振り返ると、女の子は倒れていた。
	わたしは女の子を抱え上げた。
	わたしの腕の中には、泣き疲れて眠る子どもがいた。
	女の子の表情は黒いために知り得ないが、それが安らかなものなのではないかと感じる。
	女の子は長い間闘ってきたのだろう。
	何故かそう思うのである。
	
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