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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2015年11月24日火曜日

追憶 1170

目を凝らすと、少し先の暗がりに更に黒い塊が見えた。
小さな泣き言はそこから届いているようである。
わたしは胸の痛みと、全身を襲う鉛(なまり)のような重さを引き摺(ず)って、なんとか歩を進めた。
近付いて見ると、それが女の子の背中であることが分かった。
そこにあるものが女の子の背中だと分かった途端、わたしは安心感から変な緊張を所有していたことに気が付いたのである。
しかし、それだけでは胸の痛みと、全身を襲う重さが解消されることはなかった。
それにしても、こんな寂しい場所に女の子が独りで泣いているのにはそれなりの理由があるのだろう。
それを聞くために、わたしは小さな肩に手を伸ばした。

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