しかし、この胸の苦しさは何であろうか?
	悲しみと辛さが混じり合うような嫌な思いが胸の中で叫んでいる。
	それは、手が届かない場所にある背中の痒(かゆ)みのような、何とも言えないもどかしさなのである。
	Aを部屋に案内しながら、わたしは胸の中で叫んでいるものの正体が気になっていた。
	そして、同時にそれはわたしを高揚させた。
	なぜなら、わたしにとっては、人の心に存在する破滅的な感情は”仕事”を意味していたからだ。
	多くの人は苦しみを嫌うが、わたしはそれが好きなのである。
	しかし、人が苦しんでいるのが好きな訳ではない。
	人が抱える苦しみに向き合い、それを解決に導くことが好きなのである。
	それは、わたしの役割と能力に関係していることであるだろう。
	
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