恨みの感情が薄れていくのは、いつ体験しても嬉しいものである。
	わたしは強烈な吐き気と共に黒い煙のようなものを吐き出していたが、その苦しみも嬉しいのだ。
	何かが好転する時の苦しみは、苦しみという仮面を被った喜びなのではないかと思える。
	わたしはこの喜びを味わうために光の仕事をしていると言っても過言ではないだろう。
	それほど、わたしにはこの瞬間が愛おしかったのである。
	わたしが吐き出す黒い煙のようなものは、天に向かう途中で光の粒となった。
	そして、そのまま眩(まばゆ)い光の中へと消えていく。
	それに比例して、黒い顔は小さくなっていくのである。
	
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