暗闇の中に半分溶け込むように見える女性の顔、それはMさんの顔であった。
それは恐怖に怯えるように歪んだ表情をしていた。
わたしはこの顔がMさんの心の中に存在している苦しみの本質なのではないかと感じた。
わたしが感じていた破滅的な意識の正体は、Mさんの感じている恐怖心なのではないかと思うのである。
今、そこに辿り着いたのだ。
暗闇の中に存在している怯えた表情を浮かべるMさんの顔を見ていると、わたしの中には嫌悪感ではなく、新たに悲しみが溢れてきた。
それは慈悲であるように思える。
わたしは苦しみの先に同情や慈愛を得たのである。
なんだか可哀想で仕方なかった。
それはわたしの中の思いやりの気持ちであった。
わたしはこの恐怖に怯えるMさんの心をどうにかして、この苦しみの状況から引き上げてやりたいと思うのであった。
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