彼は、参列者に挨拶でもしているかのように、にこやかに皆を見渡していた。
その時、司会者の紹介によって、三人の和尚が入場して来た。
彼等は相変わらず豪華な着物に身を包み、背後には黒い煙を引き連れながら、わたしの傍(かたわ)らを通り過ぎて行った。
わたしは、気分が悪くなるのを感じる。
豪華な椅子に重たい身体を預け、彼等はいつものように、誰が作ったかも分からない形ばかりの長く愚(おろ)かな祈りを始めた。
すると、故人の顔色が急激に変化するのが分かった。
目は釣り上がり、口をへの字に結び、顔は真っ赤に燃えていた。
彼は、和尚達のお経を聴き始めた時から、烈火の如(ごと)く怒り始めたのである。
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