黒い男は沈黙しているが、わたしにとっては五月蝿(うるさ)かった。
	
	黒い男の抱える破滅的な意識は、騒音のような周波数でわたしに迫るのである。
	わたしは死を待っているのだ。
	こんなに五月蝿ければ、安らかな死を得ることができないだろう。
	わたしは溜息を吐いた。
	そして、心の中で「家に帰ったら相手をするから着いておいで」と伝えた。
	そこでわたしは気が付いた。
	今日、わたしは死なない。
	それは、自らの無意識の発言が未来を示しているからである。
	わたしは再び溜息を吐いた。
	
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