そこで、周囲に人が見当たらなかったので、わたしは目と鼻の先にある自宅へ向けて揺れる身体を歩ませた。
	視界が歪んで真面(まとも)に見ることができない。
	真面に歩いていたかも、自分では分からないのである。
	少し行くと両親が畑仕事をしていた。
	わたしは歪んだ顔の彼等に自分の状態を伝えた。
	わたしが落ち着いているためか、二人とも冷静であった。
	母親が救急車を手配するか提案したが、わたしは簡単には返事をしなかった。
	それは、命が助かりたいとは思わなかったからである。
	しばらくして、わたしは母親の提案に従った。
	それは、この場で倒れると皆に迷惑が掛かるという思いがあったからである。
	ただ、それだけであった。
	
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