少し先には平家の一軒家があった。
その家は、すぐ後ろの山と目の前の小さな川に挟まれた土地に建っている。
決して大きな造りではない。
そのため、わたしはすぐにその違和感に気が付いたのである。
わたしの位置はその家からはまだ離れているが、瓦屋根の大棟(おおむね)に空よりも更に黒い人影のようなものが見えるのである。
それは、屋根の上にも関わらず、器用に踊っているように見えた。
全身を使って飛び跳ねているように見えるが、手足の動きからは何かしらの意思を感じるのである。
わたしは寒気に襲われた。
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