髪の毛の中には血走った眼球が見て取れた。
先程までは真っ黒な穴のように思えた目に瞳が存在していたのである。
わたしはそれが嬉しかった。
怒りの感情がわたしに向けられていたが、それはかなり弱まったのだろう。
わたしはそこに希望を感じた。
そして、その先にはこの霊の本当の姿があると確信するのである。
怒りの感情に支配されることの苦しみは、それを経験したことのあるわたしには十分に理解することができる。
だから、この霊が苦しんでいることも分かるのである。
わたしはこの霊を苦しみから助け出したいという思いに突き動かされ、破滅的な意識を取り除くことに努めた。
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