心が静まると、わたしは自分自身よりも大きな意思を感じるような感覚を得る。
それは、大きな力に導かれているような感覚であり、次に何をするべきであるのか?という欲求がどこからともなく自然と沸き起こるのである。
わたしは見えない意思を見つめ、聞こえない声を聞いているのであろう。
Hさんの背中を眺めると、わたしは無性に嬉しくなった。
理由は分からない。
ただ、嬉しいのである。
それは、離れて過ごしていた旧友に久しぶりに会う前のような緊張感と高揚感であった。
高鳴る胸の鼓動は身体を飛び出し、部屋の中を駆け巡るのではないかと思うほどである。