居間に通されて適当に腰を下ろす。
老女は、わたしにお茶を飲ませようとして、急須にお湯を注いでいる。
ポットから急須に注がれるお湯の音が、部屋の中に響いて聞こえている。
やはり、この家は老人の一人暮らしには広過ぎる。
それに、新築の今風の作りが、一人暮らしの老女とのバランスを欠いていて、それがわたしにいつも不思議な感覚を与えた。
お茶を淹(い)れるのも大変そうに見える。
わたしはいつも断るのだが、老女には世話をするのが喜びであるようだった。
わたしは、感謝の言葉を支払い、温かな湯呑みを受け取った。
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