お焼香の順番が回ってくるに連れて、わたしは遺族と近付いた。
そこには、わたしとは幼馴染である彼の娘がいた。
彼女は、父親との別れをどのように思っているだろうか?
わたしは彼が死を満足していることを知っていたので、それを知らせるべきなのか?と考えていた。
しかしながら、考えがまとまらないままにわたしの順番が来てしまった。
わたしが遺族に向かって頭を下げると、幼馴染がわたしの名前を呼んだ。
わたしが葬儀に参列しているとは思わなかったのかも知れない。
彼女は、わたしの名前の中に感謝の意を込めていたのである。
わたしは幼馴染に頷(うなず)くことで言葉を返した。
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