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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2017年12月12日火曜日

追憶 1892

それから、彼はわたしを離れた。
そして、何席か離れた人の前に立って、その人を優しい眼差しで見詰めていた。
きっと、彼なりの別れの挨拶なのだろう。
親しい人を回っているのであろうか?
何か意味があるとは思うが、わたしには選別の基準が分からなかった。
しばらくして、また別の人の前に立っては微笑んでいるのである。
彼はそれを繰り返していた。
お焼香の順番が回ってきたので、わたしは同じ列の人たちと共に立ち上がった。
その時には、彼を見失っていたのである。

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