わたしがこれ以上ここにいる必要はない。
いつの間にかに森は夜の準備を整えようとしていた。
わたしは姿の見えなくなった白い象と子ども達に、心の中で感謝をした。
そして、今度お礼に清掃活動をすることを約束してバイクに跨(また)がったのである。
気分も身体もバイクも軽く感じた。
わたしは生まれ変わったような気分であった。
少し走ると、前方にあの記念碑が見えたが、そこには、今だに同じ姿勢で座る老人の背中があった。
速度を落として近付き、老人を少し過ぎたところでバイクを停めた。
わたしは老人に対して、白い象に世話になったことを伝えて礼をした。
しかしながら、相変わらず老人はわたしには何の興味もないようである。
老人からは何の反応も引き出せなかった。
仕方ないので、わたしはバイクを走らせた。
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