このブログについて

自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2015年10月9日金曜日

追憶 1124

革の靴(サンダル)は走るのには適さない。
石畳がそれを助長させていた。
男は暗がりの街を懸命に逃げている。
月明かりに照らし出されるのは、石で建築された街並みであった。
小さな石の住宅が狭い通りに所狭しと並んでいる。
男にはそれが迷路のように思えた。
自身の心臓の高鳴りと激しい息遣いに混じって、遠くから切迫した男達の声が届く。
これは、追手によるものだろう。
身体が鈍くなるのと、声が近くなるのが比例している。
このままでは、追手の毒牙にかかるのも時間の問題であるだろう。


0 件のコメント:

コメントを投稿