口元が引き締り、歯ぎしりが始まった。
先程まで笑っていたのに、今度は怒りを覚えているようである。
計算違いがあったのだろう。
この霊は、わたしが苦しむと思っていたに違いない。
まさか、わたしが喜ぶだなんて思ってもみなかったのだろう。
思い通りにいかなければ怒りによって何とかしようとするのは、人間も霊も同じことである。
わたしは自らの喜びの感情の上に、更なる怒りの感情が覆い被さるのを感じた。
喜びが掻き消され、怒りが込み上げてくる。
「苦しめ…苦しめ…苦しめ…」
霊はまた、同じことを繰り返し始めた。
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