Hは十代特有の無鉄砲なところがあるが、人の気持ちを酌(く)むことができる優しい子である。
話を聞くと、自分の置かれている状況をある程度は客観視することができているようである。
彼女は、自分の気持ちと家族の気持ちの間を彷徨(さまよ)っていた。
家族が反対しているために、苦しんでいるのである。
HにとってはYとお腹の子ども、家族のどちらも大切なのだ。
当然のことである。
しかし、19歳の小さな胸は、押しては返す波のように永遠を彷徨っている。
彼女にとって、決断は余りにも強大なものであった。
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